サーバーの知識不足が引き起こすウェブ制作の提案における失敗

サーバー

サーバーのことを知らないとウェブ制作の提案で失敗する

サーバーのことを知らないために、ウェブ制作の提案で失敗することがあります。

どういうことなのかを具体的な事例を交えてお伝えしましょう。

負荷分散ができなかったウェブサイト

ホスティング会社に勤務していたときに、ウェブ制作会社から顧客である大手企業のサーバーに関して相談を受けました。

物販を行うその企業は、事業が好調でウェブサイトのアクセス数も日増しに伸びており、サーバーを増強しなくてはいけないという状態。

具体的には次のような状況でした。

  • 日常的なアクセス数が増えてウェブサイトの表示が遅いときがある
  • テレビなどで紹介されて突発的なアクセス集中がある
  • アクセス集中でウェブサイトが見られないことが多い

サーバーの負荷分散には色々な方法がありますが、定番の 1 つが Web サーバーの台数を増やすことです。

1 台の Web サーバーで処理できるアクセス数が 100 である場合、2 台なら 200 、3 台なら 300 というように多くの負荷を処理できるようになります。

そこで専用サーバー 1 台から、パブリッククラウド(Web サーバー 3 台、DB サーバー 1 台)へと変更することを提案しましたが、ウェブ制作会社からは無理といわれました。

ウェブサイトの仕組みが Web サーバーと DB サーバーに分けられる作り方になっていなかったのです。

顧客の様々な要望に応えた結果、そのようになってしまったことがわかりました。

複数台サーバー構成

物理サーバー1台をクラウドの複数台構成に変更する提案

Web サーバーと DB サーバーを分離するにはウェブサイトの再構築が必要で、見積もりは数百万円。

いくら業績がよいとはいえ、リニューアルからそれほど年数が経過していないウェブサイトに、再びそのような予算を投じることはできるわけもありません。

結局、ウェブサイトをそのままパブリッククラウドに移し、テレビの放映日だけ、サーバーの性能を上げるという方法で負荷に対応することになりました。

負荷を複数台のサーバーに分散するのではなく、サーバー単体の性能を引き上げて負荷に対応する方法をとったのです。

パブリッククラウド

パブリッククラウドで高負荷時のみ性能を上げて運用

高性能な専用サーバーに乗り換える方法もありましたが、アクセスの少ない平常時の維持費が高くなるため、平常時は性能と費用を抑え、いざというときにはできるだけ性能を高められるようにクラウドを提案しました。

今後もアクセスが増え続けることを考えると、このような対処には限界がありますが、他に方法はなかったのです。

サーバーの知識があれば適切な提案が可能だった

どうすれば、この事例のようなことを避けられたのでしょうか?

ここで重要になるのが、サーバーに関する知識です。

事例のように Web サーバーと DB サーバーが分離できないと、負荷分散を行うときにはとても不利になります。

顧客の企業規模、業績などを踏まえれば、アクセス数が伸びていくことは十分に予見できました。

ということは近い将来、サーバーの負荷分散が必要になることも予想できたはずです。

負荷分散にはキャッシュサーバーを用いる方法などもありますが、このウェブサイトは動的な仕組みになっており、使えませんでした。

ウェブサイトのリニューアルを行う段階で、いずれ負荷分散が必要であるとわかっていたのなら、最初から Web サーバーと DB サーバーを切り離せるよう仕組みにしておくべきだったでしょう。

そのために追加予算が必要になったり、希望する一部の機能が実装できなかったりしたとしても、それが将来のための備えであり、数年後にまたウェブサイトのリニューアルが必要かもしれないとわかれば顧客は受け入れるのではないでしょうか。

ウェブ制作会社とその顧客がどのような話し合いをしていたか、細かなことまではわかりませんが、リニューアル時にサーバーの増強を考慮した提案ができていなかったことは明らかでした。

ウェブ制作者はサーバーに関する最低限の知識を持つべき

ウェブ制作には様々な専門分野がありますが、サーバーもその一部です。

私がホスティング会社に入社した 2005 年頃は、サーバーに関して体系的に学びたくても、そのような書籍を見つけられませんでした。

DNS やデータベースなどのエンジニア向けの専門書はあっても、サーバーやネットワーク全般に関して優しくまとめた入門書のようなものがなかったのです。

しかし現在(2017 年)では、次のようなサーバーやネットワークの初心者向け、インフラエンジニア向けのような書籍を数多く見かけるようになりました。

自身のレベルに合ったものを見つけて学んでいけば、基礎的な知識は身に付きます。

しかし、ある程度理解できても顧客のサーバー構成を考えたり、ミドルウェアをチューニングするのはハードルが高いと感じられるかもしれません。

サーバーやネットワークの専門知識を持った会社やフリーランスのエンジニアに協力してもらうことでその部分を補えます。

私がホスティング会社で営業をしていたときも、複雑なサーバー構成を提案するときはエンジニアに確認していましたし、もちろんサーバーの設置や設定などは行っていません。

それでもウェブサイトを今後どのように利用していきたいのかを聞けば、適切な提案はできました。

サーバーの基礎知識を持っていれば、ウェブサイトを構築するときにサーバー周りまで配慮できるので、提案の幅も広がるでしょう。

Serverzine でも今後サーバー関連書籍の紹介を行っていくので、ご期待ください。

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